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ストーリー

[教職員]

緊張を孕む豊かな文学から世界に訴えるメッセージが伝わります

東京女子大学 現代教養学部 国際英語学科 国際英語専攻 教授 溝口昭子

私の専門のアフリカ英語文学は非常にメッセージ性が強く、またその黎明期には歴史小説が多いことが特徴です。それは植民地時代に支配者によって歪められた歴史を尊厳ある人間の歴史としてきちんと書き直したい、しかも英語で記すことによって広く国民と世界に伝えたい、という想いが背景にあるからです。アフリカ英語文学の父と呼ばれるチヌア・アチェベはかつてエッセイの中で、「小説家は自分の民を教え導く教師でなければならない」と語りました。アフリカは今も旧宗主国や多国籍企業の搾取に苦しみ、ジェンダーの問題も深刻ですが、作家たちはそうした問題にも果敢に切り込み、「支配者に押しつけられた言語」である英語で書くことの葛藤を抱えながら、時には命がけで発言や表現を続けています。緊張感あふれる豊かな文学は、私たちにさまざまなメッセージを伝えてくれます。

アフリカの民族楽器・ムビラを傍らに彼の地に思いを馳せています

そんな彼らの国家意識の変遷を辿る中で、現在は19世紀末から20世紀前半における南アフリカの作家や知識人たちを研究しています。その一人、H・I・E・ドローモは、植民地エリートとして民衆の近代化を目指しました。しかし、アパルトヘイトに抗う中で、民衆の上に立つ自分の矛盾を鋭く問い直しました。これは脱亜入欧を目指した近代国家を担った、明治日本のエリートたちの意識とも重なり、今に連なる私たちに世界のあり方について気づきをもたらします。複雑なアフリカ英語文学の成り立ちを含め、こうしたアイデンティティの問題を学生とともに考えることが魅力でありやりがいでもあります。

著書:『<終わり>への遡行—ポストコロニアリズムの歴史と使命 』(共編著、英宝社、2012)

研究キーワード アフリカ文学 / 黒い大西洋 / 英語圏文学 / 植民地近代 / ポストコロニアル / 英文学 / ディアスポラ
溝口昭子
東京女子大学 現代教養学部 国際英語学科 国際英語専攻 教授

アフリカを舞台にした植民地英語文学やアフリカ英語文学を中心に研究を続けている。