人間科学研究科 人間文化科学専攻 博士後期課程
人間文化を空間的、共時的、通時的に捉え直し、「人間の営みと知の所産である文化の諸相」を考究し、人間理解に新たな視座を開く
「人間の文化」に焦点を合わせ、「思想文化」「言語表現文化」「歴史文化」の三つの教育研究領域を柱として構成します。すなわち、人間の文化を成立させている様々な要素の中から、とくに新たな人間理解の究明に必要とされ、人間文化の諸相の根源に位置する「思想」、人間文化の表出と考えられる「言語表現」、諸地域の「歴史的時間的変容」の三つの分野を選定したものです。様々な要素が有機的にからみ合う人間文化を、空間的、共時的、通時的に捉え直し、「人間の営みと知の所産である文化の諸相」を考究し、人間理解に新たな視座を開きます。
思想文化領域
哲学と美学を中心に据えて人間が築いてきた思想および美の追究と、人間活動の所産である文化と思想の常に相互作用をもたらす関係を確認しつつ、それぞれの学問分野の研究をより一層深めていく。これまで人類が築いてきた思想、芸術の成果を精査することを基礎に、現代の文化が直面する諸問題と積極的に取り組むことを課題とする。堅実な専門の基礎の上に、「言語表現文化」「歴史文化」の領域と密接に連携を取るとともに、学際的な研究を実現することを目指す。
言語表現文化領域
言語表現による芸術すなわち「文学」を対象として、人間文化の要素特質を論及する。一方、「言語」そのものの研究からも、言語表現とそれを生み出している文化の要素特質を究明し、日本語・日本文化および英語・英語文化の諸相の考究とそれぞれの文化が直面する問題解決に貢献する。「思想文化」「歴史文化」および生涯人間科学専攻各領域とくに「生涯発達臨床」の近接領域から探りだした新たな切り口からの独創的研究分野の開拓をも企図している。
歴史文化領域
欧米、アジア、日本の諸地域、諸社会、ならびにそこに見られる人間の営みとしての諸文化の多様性と社会構造のあり方、諸社会が合して形作る国際的な文化の相互関係のありようについて、歴史的観点ならびに地域研究と文化接触・文明交流というグローバルな視点から、理論的かつ実証的検証を行い、社会の変容およびその多様性と文化の諸相の関わりを論究し、新たな人間理解の視座を開く。女性の視点からも新たな研究の深化・発展を目指す。さらに、関連する言説を「思想文化」「言語表現文化」の近接領域に見出し、「生涯人間科学専攻」の「共生社会開発」領域に関連した成果を踏まえ、学際的研究の更なる深化・発展を志向する。
カリキュラム
人間科学研究科共通科目
人間科学特殊研究(比較文化)
比較文化研究の立場から、一学問領域にとどまらない学際性を重視した議論展開をすすめ、新しい切り口から人間社会・文化の諸相を究明します。人間文化科学専攻、生涯人間科学専攻の2専攻にまたがる種々の学問分野において、それぞれどのような発想パターン、思考枠組みがみられ、それらの間にどのような対応関係、融合関係がありうるかを検討していきます。
人間科学特殊研究(女性学)
人間科学の各領域で専門的な研究を行なおうとする人々が、女性学・ジェンダ-研究の蓄積から学び、その視点を生かして各自の問題意識を深め、新たな研究を生み出す可能性についても検討できるよう、手がかりを提供することを目指しています。
人間科学研究科 人間文化科学専攻の授業科目
思想文化領域
思想文化特殊研究(哲学)I、II
西洋思想文化の根本的問題を究明します。古典的な哲学のテキストを、西洋思想の知見を援用しつつ、入念に精査する作業を行い、古典的哲学と現代の思想文化の諸問題との連関について独自の観点からより深い分析を行います。さらに、現代の科学技術の進展に伴って生じる問題、生命倫理、医療技術の進展に伴う医療倫理の問題などに関して、現代の思想文化の根本的問題を哲学的に論究し、現代の思想文化状況についての深い洞察力を養います。
思想文化領域
思想文化特殊研究(美学)I、II
美学研究を学際的に広く思想文化研究のなかに位置づけることを目指します。美学理論、芸術理論の基本的なテキストの読解の基礎の上に、現代の思想、文化・社会理論をふまえた芸術理論の可能性を探り、芸術研究を通して思想文化を広い視野から把握する力を養います。さらに、比較文化的な研究の手法をも取り入れ、美や芸術の具体的な事例に即しつつ、現代の思想文化の問題を深く把握し、それを批判的に思考することによって、理論的に解決することを目指します。
言語表現文化領域
言語表現文化特殊研究(言語研究)I、II
日本語と英語を中心に据え、それぞれの言語の言語構造・言語運用・史的展開について、分析資料の正確な記述と、諸理論に基づいた体系的な記述とを基礎とした研究を展開します。言語そのものの構造的な観点からの討究と共に、史的・地域的・言語間の比較等の言語社会学的な観点とを交えながら、言語表現が社会の文化様式とどのような接点を持つかを考究します。さらに、学際的視点を持った独創的アプロ-チを探究し、言語システムと文化表象の相互関係についてのより深い分析を行い自立的研究を発展させる力を養います。
言語表現文化領域
言語表現文化特殊研究( 文学 )I、II
日本文化およびイギリス・アメリカの文化の諸相を、詩、小説、演劇など多様な言語表現形式を通して究明します。そのために、精緻な文献読解を基本におき、連関する地域・時代背景、社会学、心理学などの近接領域の視点から、文献に表れた人間の様態を分析・批評し、把握します。個別の作家・作品の体系的研究を、独創的研究方法を追究しつつ、上記の成果を得ます。さらに、言語表現に表れた人間文化の諸相の理解と分析を深め、発展させます。近接領域との学際的な視点・女性の視点などから独自の研究方法を確立して、新しい人間像を究明します。
歴史文化領域
歴史文化特殊研究(欧米)I、II
世界史・世界文化における、「西洋」文化圏の形成と展開、「西洋文明」の存立構造、それらを導く各時期の諸要因を究明します。欧米各地域、わけても古代地中海世界、近現代中欧、北米の国家・社会・文化の消長変容過程の諸相を日常生活史あるいはミクロ・ヒストリー的次元にいたるまで個別具体的に跡づけ掘り下げるとともに、比較史の方法や広義の社会史《全体(社会)史》、比較体制論の視点、また比較文明論の観点等の、巨視的歴史パスぺクティヴ(マクロ・ヒストリー)からも行います。さらに、ジェンダー論、隣接諸科学の有効な新しい認識方法や、グローカリゼーション・「多文化主義」「異種混交」等新しい概念や現状分析も参照しつつ、歴史の連続・非連続、重層性、文化の基層の解明をより深化させます。
歴史文化領域
歴史文化特殊研究(アジア・日本)I、II
東アジア・東南アジアを中心とするアジアの文化を、比較史・比較文明論の視野のもとに究明します。隣接諸領域の成果および方法論を共有化しつつ、諸時代における社会、国家、文化等を総合的に検討し、立体的でダイナミックな歴史文化像を構築することを目的とします。また、ある特定の地域と時代の具体相の究明を目指し、それらの間の文化摩擦と相互浸透、ならびにそうした接触と交流の諸相について考究する研究能力を養います。さらに、ジェンダー論、隣接領域の方法論など学際的視野から、新たな分野への知見獲得を指向し、トータルな歴史文化像の構築を目指します。
専任教員
論文指導演習担当者
思想文化領域
言語表現文化領域
歴史文化領域
講義担当者
人間文化科学専攻 博士論文タイトル
2013年度の博士論文より、東京女子大学学術情報リポジトリで閲覧することができます。
2019年度
- ・Passions, Authorship and Gender in Early Modern Women Writers:Focusing on Mary Sidney Wroth
- ・建国初期中国共産党の「中央民族訪問団」-少数民族地域への対応と政策ー
2018年度
- ・Representations of Madness in Victorian Literature : Narrative, Gender, and Society
- ・中世文書の日本語史的研究―東国文書を中心に―
- ・和泉式部の和歌の研究―三つの歌材で読み解く和泉式部の和歌の特質―
2017年度
- ・第一次・第二次台湾海峡危機をめぐる米台関係史
2014年度
- ・正岡子規自筆『竹乃里歌』の語彙研究
2013年度
- ・Orality and Writing in Dickens and Neo-Victorian Fiction
- ・Narrative Structures and Spaces in the English Romantic Novel: An Intertextual Study of Mary Shelley, Charles Maturin and the Brontes
- ・Male Friendship in William Shakespeare’s Roman Plays
- ・Diet, Dress and Disease : Images of Female Alienation in Charlotte Bronte's Works
- ・『万葉集』における注釈行為-異伝を生み出す左注の諸問題-
2012年度
- ・能楽伝書の日本語史的研究-平仮名用字法を中心に-
- ・日本文芸の中の虚構の性
- ・The Representations of Women’s Subjectivity in Shakespeare’s Late Plays
2011年度
- ・A Study of the Adaptations of John Webster’s Plays: Representing Women in Late Seventeenth- to Early Eighteenth-Century England
- ・Caryl Churchill’s Representations of Female Subjectivity: Family, Society, Wars and the Body
- ・泉 鏡花研究 -初期作品における語りの特質-
- ・『源氏物語』の呼称の研究
2009年度
- ・萬葉集長歌の研究
2008年度
- ・D.H. Lawrence’s Representations of Relativity: With Special Reference to the Cultural Climate of Modernity before Einstein
2007年度
- ・カントにおける象徴の問題
育成したい人材像と修了後の進路
- ・ 大学・短期大学、国公立研究所、大学付属研究所等で専門の教育研究にあたる教員や研究員など
- ・ 出版業等で高度な専門知識を要求される専門職や翻訳者など
- ・ 省庁、自治体の図書館等で高度な知識と分析力を要求される専門職など
- ・ 青年海外協力隊等を含む、国連、国内、海外のNGO、NPOで高度な地域研究の知見を求められる専門職など
大学紹介
学部・大学院
- 現代教養学部2018
- 現代教養学部2017
- 大学院合同研究科会議議長メッセージ
- 大学院 - 人間科学研究科
- 大学院 - 理学研究科
- 特別聴講学生制度(博士前期課程対象)
図書館・各種センター
- 図書館
- キャリア・イングリッシュ・アイランド
- エンパワーメント・センター
- CALL学習センター
- 心理臨床センター
- キリスト教センター
- ボランティア・ステーション
研究
-
研究所・学会
- 比較文化研究所
- 女性学研究所
-
丸山眞男記念比較思想研究センター
- 概要
- 講演会・公開授業等
- 丸山眞男文庫
-
刊行物
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第15号(2020年7月)トリの『センター報告』15号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第14号(2019年6月)トリの『センター報告』14号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第13号 (2018年3月)
- 全事業報告書
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第12号 (2017年3月)
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第11号 (2015年3月)
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第10号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第9号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第8号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第7号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第6号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第4・5号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第3号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第2号
- 丸山眞男記念比較思想研究センター報告 第1号
- Maruyama Masao Center for the History of Ideas(英文)
- 丸山真男纪念比较思想研究中心(中文版)
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- 外部資金〜研究助成・補助金・受託研究・共同研究等〜
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- 研究活動における不正行為防止の取組
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