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「学長室から」No.3(2019年8月23日)

「ことばを学ぶ、ことばを伝える」をいただきました。


 過日、東京女子大学言語文化研究会学生有志の方々から、「ことばを学ぶ、ことばを伝える」という題名の冊子をいただきました。内容は、1988年の言語文化学科新設から2018年の言語科学専攻の募集停止までの間、本学で「ことば」を学んだり教えたりした先輩や先生方50名に対する聞き取りをとりまとめたものでした。東京女子大学学会の学生研究奨励費の助成を受け、1年余をかけて編集したとのことです。

 その「はじめに」には、「この研究活動を通して、私たちは、『ことば』の問題だけでなく、人生や、学ぶことの意味など、学生生活での学びの集大成となる実に多くのことを学ぶことができました」と書かれています。

 名誉教授の斎藤康代先生は、印象的な「ことば」として、新約聖書ヨハネによる福音書の冒頭のことばである「初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった。」が思い浮かぶと述べておられます。「ことば」を大切にする本学にふさわしい「ことば」です。改めて「ことば」が力であることに気づかされました。

 同じく名誉教授の北條文緒先生。言語には「指示的機能」と「創造的機能」の二つがあると語ったと紹介されております。前者は、正確に伝えるための言語。後者は、「架空の世界や事物をことばで作り出す」もので、「文学作品とりわけ詩などはそういう使い方が多い」とのことです。私は、後者は頭の中で自由に駆け巡ることを可能にする思考の媒体としての言語機能かと理解しました。リベラル・アーツを支える基本機能です。

 編集に携わった学生のみなさんは、先輩たちの多くの「ことば」に出会ったことでしょう。みなさんの学んだ専攻は閉じますが、学んだ「ことば」を力に変えていってください。将来、学生があなた方を訪ねてきたら、そんな力を分けてあげてください。「ことば」は、本学リベラル・アーツの核として大切にしていきます。立派な冊子をありがとう。