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「学長室から」No.4(2019年8月26日)

本学リベラル・アーツの源流


 暑い夏。『東京女子大学100年史』を読みました。その資料編に本学最初の学則が載っており、カリキュラムに「文明史」という科目が開設されていることを発見しました。本学は、国語漢文科、英文科、人文科そして実務科(第一部、第二部)の4科でスタートしましたが、実務科(第一部)を除く各学科に開設され、人文科では本科修学期間3年間にわたって履修することになっております。

 絹川正吉先生の『リベラル・アーツの源泉を訪ねて』には、「第一次世界大戦は大学教育の在り方の議論を引き起こし、リベラル・アーツが復活した」とあります(筆者要約、以下同様)。世界大戦の反省からの「西洋文明論」の学び直しの必要性がそのきっかけだったと。リベラル・アーツ教育復活の先鋒であったコロンビア大学では、「『現代文明』という名称の新しい必修科目が設けられ、無知から解放するものはリベラル・エデュケーションである、という意味だった」とその後コロンビア大学の学生となったドナルド・キーンさんの話も紹介されています。

 本学が開学の準備をしていたのはまさにこの時期でした。1918年の開学直前、新渡戸先生は「新女子大学の創立に当って」と題して雑誌に寄稿しています。人文科新設の理由について「人文科とは西洋でいうリベラル・エデュケーションです。婦人が高等なる常識を養うため」と述べています。「女性の自立には学問が必要」。それは新渡戸先生の女子教育の原点でした。本学に設けられた「文明史」は、「無知からの解放」のためにコロンビア大学に設けられた「現代文明」と軌を同じくするものと言えるのではないでしょうか。「文明史」の開設は、本学リベラル・アーツの源流なのだとも。

 暑い夏。私は、岩と岩の間から流れ出る冷たい水を手に掬い受け、そして口に含みました。贅沢な「今日のSomething」 でした。