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「学長室から」No.21(2020年3月20日)

芝生の上で卒業証書を授与しました。


 3月17日と19日は、本来ならば卒業式でした。今年は残念ながら新型コロナウイルスのためその挙行を見合わせました。両日とも、雲一つなく春陽満ち満ちた一日でした。三々五々、晴れ着姿の卒業生が卒業証書を受け取りに大学に現れました。VERA広場で仲間と写真を撮りあっている様子が3階の学長室の窓から見えました(写真1)。
 陽気にも誘われてわたしも広場に出ました。「おめでとう」、「卒業式を中止にしてごめんね」と声をかけながら、写真にも納まりました。幾人かに、既に事務窓口を訪ね手にしている卒業証書を"返却"してもらい、読み上げ改めて授与しました。「芝生の上の授与式」になりました。
 "芝生の上の授与式"で、100年史で見た一枚の写真を思い出しました(写真2:「東京女子大学100年史【本編】」159頁)。「帰校日の授業。教室は軍に接収されていた(1945年)」という説明がついています。戦時中、勤労動員に駆り出されていた学生に、帰校日と言って、月に1、2度学校に行ける日があったのです。黒っぽい服装の学生が、芝生の上に輪になって座っています。"芝生の上の授業"です。"芝生の上の授与式"はその近くでした。よく見ると、当時空襲の標的になることを避けるためにコールタールで白黒まだらの迷彩柄に塗られた本館前の階段にも"学校に帰ってきた"学生の姿が見られます。
 黒っぽい服装と晴れ着。迷彩柄と碧空。真逆の二つの光景ではありますが、二つをつなぐものを感じました。綿々と受け継がれてきた東京女子大学の"something"でしょうか。迷彩柄の本館にも、碧空のもとの本館にも、壁面に「QUAECUNQUE SUNT VERA」(すべて真実なこと)と刻まれています。
 卒業生のみなさんは、これから、予測しがたい変化の激しい社会に出て行きます。「狼の群れの中に小羊を送り込むようなものだ」という聖書の言葉を思い出します。しかし、多くの先輩たちがそうであったように、そして今もそうであるように、賢く、明るく、しなやかに変化に対応してください。「女子大学」で学んだことに誇りと責任を持ち続けてください。そして、変化への対応にとどまらず、女性として変化を作り出してください。社会は「女子大学」で学んだみなさんの力を必要としています。
 春陽燦々、"芝生の上の卒業証書授与式"。わたしにとっても想いを新たにする日となりました。


写真1 2020年3月19日撮影
写真1 2020年3月19日撮影

帰校日の授業(1945年)(「東京女子大学100年史」)
写真2 帰校日の授業(1945年)(「東京女子大学100年史」)