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東京女子大学

学長メッセージ

東京女子大学は、1918年(大正7年)4月30日、76名の学生を迎えて開学いたしました。世界は第一次大戦のさなか、スペイン風邪が大流行を始めた年です。そのような不安で暗い世相にあって、本学は新しい時代を切り拓く自立した女性像を掲げ、「犠牲と奉仕」というキリスト教の精神を教育理念として創立されました。高い教養を備え、自分の知性で判断し行動する日本人女性の育成は、当時の女子教育に求められていた良妻賢母思想や国家の役に立つ実用主義とは大きく異なる考え方でありました。

その挑戦は、100年余を過ぎた今日も続いています。コロナ感染が世界の日常を一変させた今、従来の常識や行動様式だけでなく、それらの根底にある基本的な世界観や倫理意識も問い直されるようになりました。変化の激しい時代には、目先の知識や技術の修得だけではなく、ものごとの根本や原理へと立ち帰って考える力、広い視野に立って自分と周囲を理解する力、困難な状況にあっても毅然として決断し責任を担う力が求められます。創立以来本学が大切にしてきたリベラルアーツは、このような時代にこそ必要な学びです。初代学長の新渡戸稲造は、これを「知識より見識、学問より人格、人材より人物」と表現しました。

これまでに本学が送り出してきた6万名を超える卒業生は、「地の塩・世の光」として活躍を続け、本学の教育に対する高い評価と信頼を獲得してくれました。女子大学は、女性が伸び伸びと自己表現しリーダーシップを養うことができる理想的な教育環境として、近年では海外でも再評価が進んでいます。女性の社会進出が遅れている日本では、ようやく政府や企業が女性管理職を3割に増やすことを目標に掲げるようになりました。東京女子大学は、見識・人格・人物において評価される女性の輩出を目指し、これからも社会への貢献を続けます。

伝統ある本学の挑戦をともに担い、変化する時代にも確かな足取りで歩み続ける高い志をもった女性を歓迎します。美しい緑に溢れたわたしたちのキャンパスを、ぜひ訪れてみてください。

学長 森本 あんり

  • プロフィール

    1979年国際基督教大学卒業。東京神学大学、プリンストン神学大学を修了 (Ph.D.)。専門は神学・宗教学・アメリカ研究。1991年国際基督教大学大学牧師、1997年準教授、2001年教授。2012年より2020年まで学務副学長、2022年名誉教授。2002年プリンストン神学大学、2010年バークレー連合神学大学院でそれぞれ客員教授を務める。日本私立大学連盟教学担当理事者会議幹事会委員長、アジア・キリスト教高等教育合同財団理事を歴任。近著に『反知性主義』『不寛容論』(新潮選書)『異端の時代』(岩波新書)など。2022年4月より現職。