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東京女子大学

学長メッセージ

教養に立脚した専門性 「志高い人格」と「実行力を伴う知性」を育む

日本の女性が活躍する場面は年々拡大し、女性の内閣総理大臣や東京都知事が活躍するなど、かつての日本から見ると様変わりの状況になりました。少子高齢化が進む日本において、社会における女性の役割はますます重要性を増すでしょう。このような趨勢の中、女子大学の果たす役割も大きく変化してきています。

東京女子大学は、1918年(大正7年)に開学いたしました。初代学長は新渡戸稲造です。新渡戸は札幌農学校のクラーク博士の教え子であり、この時クリスチャンになりました。その後、『武士道』を発表したほか、札幌農学校や京都帝国大学、東京帝国大学の教授や国際連盟事務次長、旧制第一高等学校の校長などを歴任され、かつては五千円券の肖像にも用いられた国際教養人です。新渡戸は英国での教育歴をもつ安井てつとともに、リベラルアーツ教育を日本女性に提供するために尽力しました。

ここで重要なことは、当時から本学が専門的な知識を学ぶだけではなく、人格面での成長を促す教育を重視していた点です。この考え方は、私の前任校である東京大学教養学部とよく似ています。実は、東京大学教養学部の前身は、新渡戸が基本的な理念を整えた旧制第一高等学校でした。両者には全人教育という共通するルーツがあり、ともにリベラルアーツ教育を通じて、職業教育的な専門知識中心の教育とは一線を画し、深く広範な教養と高められた人格に裏打ちされた自立した市民の育成を目指しています。また、大学の本館には「VERA」の言葉が刻まれています。聖書のピリピ人への手紙4章8節にある「すべて真実なこと」に書かれている、清く正しく愛すべきことに心を留めて学んだこと受けたことを行いなさい、という意味です。優れた人格と教養を持ち、社会に貢献できる女性を育みたいのです。

AIが発展する現在、専門知識だけの人間はAIに仕事を奪われるのではないかといわれています。このような時代において、AIが到達できない側面、とくに人格的な要素を涵養することが大学にとって重要になってきています。また、AIの発展で偽情報がSNSや動画サイトなどで拡散されやすい昨今、自分の知識と考えで批判的に真実や本質を見出し、他者への愛を持つことがとても重要になってきています。また、お金やコストパフォーマンスが第一とか、自分さえ良ければ良いという傾向が強くなっている時代において、他者に対して「犠牲と奉仕(Service and Sacrifice)」の精神で接することができる人材は、ますます貴重になっていくと思います。このような理念のもと、本学で教育を受けた6万人を越える卒業生は、社会の多様な分野で活躍しており、伝統ある本学の評価を高めてきました。

本学は、安心で安全な教育に専念できる女子大学ならではの環境を、これからも継続して提供します。今後は、現代の女性が歩むライフステージを通じ、生涯にわたって寄り添う教育を行っていく方針です。AI・データ科学についても強化し、AIや情報科学、生命科学も新しい教養として学ぶ体制を整えてきたいと思います。本学の良さである少人数制での学びを通じて、課題解決力や討議力、語学力などの錬成にも力を入れていきます。

本学では、上記の理念に共感し、高い志をもって社会に貢献したい女性を歓迎します。自然や歴史的建造物に恵まれた善福寺のキャンパスで、皆さんをお待ちしています。

学長 太田 邦史

  • プロフィール

    1985年東京大学理学部生物化学科卒業。1990年同大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士)。専門は分子生物学・合成生物学。1991年理化学研究所研究員、2003年同研究ユニットリーダー、2006年准主任研究員を経て、2007年東京大学大学院総合文化研究科教授。2019年より2021年まで同研究科長・教養学部長を務める。以降、理事/執行役・副学長として学術長期構想、教育改革、DX推進、入試企画、IRなどを担当。学科改組や新学部構想など大学運営に幅広く携わる。2026年4月より現職。