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東京女子大学

教授

アツシバ サチコ

厚芝 幸子

現代教養学部 数理科学科 数学専攻【~2023年度】

研究キーワード

不動点 / 非線形解析 / 最適化問題 / 凸解析

研究分野

解析学

研究テーマ

写像(または関数)で写しても動かない点を不動点と言います。ヒルベルト空間やバナッハ空間などの無限次元空間において不動点の存在性・不動点をもとめる問題(近似問題)に関する研究を行っています。同時に、不動点を一般化した概念を用いた非線形解析学も研究しています。

コメント

不動点を用いた解析を研究していますが、その不動点とは何かについてもう少し述べておきます。
地図を縮小コピーして、元の地図の上に重ねると、大小の地図の間に同一地点で重なる所が一点だけ必ずあります。もとの地図から縮小コピーがはみ出さないように重ねる限り、斜めに置こうとどのように置こうとも、必ずそのような点が1点あります。このような点を不動点と呼びます。この例でみる、このような ”動かない点” が一点だけ存在することを解析学の手法で証明できます。写真という2次元の世界では、さほど重要な性質でもないと思えるかもしれません。しかし、対象を無限次元の世界に広げると、微分方程式の解や最適化問題の解など、様々な問題の解が不動点となり、重要な性質を持つようになります。現在、無限次元において不動点の存在性・不動点をもとめる問題(近似問題)に関する研究を行っています。不動点を用いることにより、多くの複雑な問題をシンプルで統一的な枠組みの中で効率的に解決することができるようになります。これらの研究では、じっくりと自分の頭で考えて定理や命題の意味を理解したり、じっくり考えて理論の全体像を眺めることが大切になります。
じっくりと考えて本質をつかみ、問題解決に当たれる思考を身に着けるように勉強していきましょう。

  • 主な担当授業・演習
    • 解析学概論I,II
    • 解析学の応用
    • 関数解析学
    • 数理解析学
  • 所属学協会・プロジェクト
    • 日本数学会
    • 国際数理科学協会
  • 書籍等出版物(単著・共著)
    • 要点付き演習書 線形代数学 —自力で解くための実力養成問題集—(共著, 学術図書出版社, 2016年)
    • Convergence of orbits of nonexpansive semigroups in Banach spaces, Journal of Nonlinear and Convex Analysis, 21, 2105–2114. (単著, Yokohama Publishers, 2020年)
    • Fixed point property for normally 2-generalized hybrid mappings, Journal of Nonlinear and Variational Analysis, 3, 149-158. (単著, Biemdas Academic Publishers, 2019年)
    • Nonlinear ergodic theorems for normally 2-generalized hybrid sequences, Journal of Nonlinear and Convex Analysis, 20, 251–264. (単著, Yokohama Publishers, 2019年)