教授
フルサワ キヨコ
古沢 希代子
現代教養学部 国際社会学科 経済学専攻
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- 主な担当授業・演習
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- マクロ経済学入門
- 開発経済学
- 国際協力とジェンダー
- 国際社会基礎演習など
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- 所属学協会・プロジェクト
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- 日本平和学会
- 日本フェミニスト経済学会
- 国際フェミニスト経済学会
- アジア政経学会
- 日本国際政治学会
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- 書籍等出版物(単著・共著)
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- 『フェミニスト経済学 -- 経済社会をジェンダーでとらえる』(共編著、有斐閣、2023年10月)
- 『日本の国際協力 アジア編 - 経済成長から「持続可能な社会」の実現へ』(共著、ミネルヴァ書房、2021年6月)
- 「紛争後の東ティモールにおける土地問題 - ポスト・コロニアル状況との交錯」『経済学雑誌』第121巻第2号、2021年3月
- 「東ティモールにおける水利システム改革とジェンダー - インフラ事業民主化への道」『大阪経大論集』第68巻第5号、大阪経大学会、2018年1月
コメント
私が一番長く、かれこれ35年以上、かかわってきたのは東ティモールです。東京の下町育ちの私は、マチ(都市)とは真逆の山と川と農地が結ばれる農業水利の世界に関心を持ち、大学院に進むとインドネシアの地域研究に着手しました。そこで、インドネシアが1975年、ポルトガルからの独立の過程にあった東ティモールに侵攻・占領・封鎖し、抵抗する人々を弾圧していること、当時のインドネシアの最大援助国が日本であることを知り、東ティモール人の人権と自決権を支援する運動を始めました。1999年の国連による住民投票を経て、東ティモールが独立すると、ようやっと東ティモールでの調査研究が可能になったのですが、21世紀の国際援助はそれまでの教訓を活かすものとはなっていませんでした。
新自由主義の波は世界銀行に及び、世界銀行が統括したある県の灌漑施設再建プロジェクトでは、安直な費用/便益計算の下、県の技師と農民の意見を無視して、川からの取水後に沈砂池で砂を排出する構造を撤去してしまいました。一方、独立後女性は農村開発の担い手として期待されました。実際、女性の農民たちは本当に働き者です。しかし、彼女たちの農業経営に大きな影響をもたらす灌漑事業の計画や運営には関与できていません。
私の研究は、技術の選択・運営・維持管理が民主的で参加型にかわることを構想し、女性を含めた地元の人たちとともに、国際援助、政府による水利行政、農民による水利組織の課題を明らかにすることを目的としています。