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東京女子大学

『学報』2016年度第2号NEWSより抜粋

「ベアテの贈りもの」上映会

5月28日(土)に『映画で見つめる女性の歩み「ベアテの贈りもの」上映会』を小野学長ご出席のもと開催しました。「ベアテの贈りもの」製作委員会から、男女雇用機会均等法の“生みの親”である赤松良子氏と、ソニーで初の女性管理職となられた落合良氏をゲストにお招きしました。落合氏は名古屋の「ベアテさんを語る会」が映画制作の資金集めのために作ったスカーフ(憲法24条が6か国語でデザインされている)を手に、制作のきっかけ、完成まで道のり、ベアテ・シロタ・ゴードン氏のお人柄についてお話しくださいました。赤松氏からは「言葉の贈りもの」として「夢を持つことはとても大切。夢を見たら努力をする。努力をしているうちに運がむいてきたら『運は前髪で掴め! 』」という力強いメッセージをいただきました。

アンケートには「日本国憲法24条に男女平等を織り込んだベアテさんの想いに触れ感銘をうけた」「昭和62年入社で社会人になった者(女性)として、このような大先輩の方々の強い想いが私のキャリアにつながっていると実感できとても感慨深かった」という女性の声や、「男女平等の歴史と女性たちが戦ってきた背景を知ることができた。これからも男として女性の味方になれるようにしたい」という男性参加者からの感想もありました。

杉並区内大学公開講座(2016年前期)
「孝謙・称徳天皇—崇仏を貫いた古代最後の女帝—」

人文学科史学専攻教授 勝浦令子 Noriko Katsuura

奈良時代の女帝である孝謙・称徳天皇は、本来男性を前提とした皇太子の地位を経て、孝謙天皇として即位し、その後一旦は譲位しますが、太上天皇時代に女性性を克服する出家を遂げ、政敵となった恵美押勝との戦いに勝利し、尼姿のまま称徳天皇として再び在位するという、古代の女帝の中でも異例の存在でした。女性として生まれたことによって受けた困難に対し、時には粛々と指示を出し、時には感情を爆発させて謀反人たちを処罰し、時には逡巡して神仏の声を聴くために瞑想して乗り越えていきましたが、後世には道鏡との関係を揶揄する卑猥な言説を浴びせられていきました。講義では、「王権と仏教」「女性と仏教」の視点から、残された多くの宣命などを通して、女帝の実像を明らかにすることを試みました。

受講者の皆さんからは、毎回熱心に質問やご意見をいただき、また最終アンケートで思いがけず好意的な感想を多く寄せていただいたことに、心より感謝しております。

東京女子大学学会主催 学術交流会報告

国際社会学科社会学専攻教授 金野美奈子 Minako Konno

さる4月6日、第14回学術交流会「世代再生産の比較文明論—ローマ・江戸・中国」が開催されました。あらゆる社会・文化の関心事である世代再生産の諸相について、ご専門の分野、時代、地域の異なる3人の先生方からお話をうかがいました。まず樋脇博敏先生(西洋古代史)が、古代ローマ社会を題材にお話しされました。現代の国勢調査につながる人口把握調査、初代皇帝による上層市民向け少子化対策、皇帝の世代継承戦略など、興味深い事実の数々に目を開かされました。続く光延真哉先生(日本近世文学)は、江戸歌舞伎役者の世界を垣間見せてくださいました。芸を継承していく多様な戦略のあり方から、必ずしも血縁によらない継承のあり方について改めて考えさせられました。最後に聶莉莉先生(文化人類学)が、中国社会の父系血縁集団である宗族について紹介されました。紀元前から続く宗族関係の諸相に、政治的変転の下で血縁集団を脈々と継承してきた民衆の強靭さを感じることができました。本交流会が、専門を超えた一層の学術交流のきっかけのひとつとなればと思います。

熊本地震災害献金報告

今年4月に発生した熊本地震での被災者支援のため東京女子大学でも募金を呼びかけ募金箱を学内6か所に設置しました。募金のご協力に感謝いたします。

募金期間:4月22日~5月13日
総額:187,097円
送付先:日本赤十字社