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東京女子大学

トピックス

[教育]

「学長室から」No.30(2020年12月1日)

Mon.

今日から12月です。

1号館横のイチョウも半分は落葉となりました。croSS広場からVERA広場に抜ける小道の両脇の木々は、紅葉と黄葉に変わり、緑の葉とも相まって見事な色合いの空間を作っています(写真1)。楓寮の近くのさざんかの赤い花は今が満開です(写真2)。晩秋の紅葉と初冬の花が隣あって、キャンパスを色づけてくれています。キャンパスからの便りとしてスマートフォンのカメラで撮りました。

キリスト教のカレンダーでは、今週から、救い主の誕生を待つアドベントに入っています。「今週の礼拝22」(11月30日(月)~12月6日(日) 担当:大学宗教委員長 佐野正子先生)もアドベント・キャンドルサービスとして行われました。クワイヤのみなさんの努力で素晴らしい動画となっております。本館前の電飾も点灯されました(写真3)。佐野先生のメッセージにあった「光には闇を追い払う力がある」ことを実感しました。

11月16日、同窓会支部のさがみの会鎌倉と同窓会本部の共催による学長懇話会がありました。今回はオンライン開催となりましたが、さすがかつての東女生。現役に劣らず、35名の卒業生がパソコンを操作し参加しました。与えられた本題は、「建学の精神と大学教育の目的」という大きなテーマでしたが、創立期の3人の卒業生の生き様から、本学の建学の精神の源泉を訪ねることとしました。

斎藤百合さん(1918年入学)。彼女は、盲目で入学時は1児の母でした。「女性を一人ひとりの人間として自己確立のための高等教育を行う」という本学設立の新聞案内に感激し、本学に入学しました。同級生に支えられ無事卒業し、盲女性のための教育と福祉に生涯をささげました。『いと小さき者』を大切にする本学教育の魁(さきがけ)でした。

三谷文子さん(1919年入学)。後の天達先生です。第1回本科卒業生を代表して英文で答辞を述べました。本学百年史にその全文が掲載されています。 "Yet we seem to hear a voice calling us. It is(中略)? the quiet but authoritative calling of your deepest principle ? Service and Sacrifice."と、3年間の学びによって、「犠牲と奉仕」を自分への"calling"と述べています。内村鑑三を師と仰いでいました。

高橋ふみさん(1920年入学)。本学人文学科に入学した後、在学中に新設された哲学科に編入し、本学最初の哲学科卒業生となりました。その後、東北帝国大学法文学部文学科(哲学専攻)に入学し、東京女子大学出身として最初の女性学士となります。その後、三浦なをさん(後の青山先生)と磯部貞子さんが続きます。ドイツ留学から帰国した高橋さんは、本学講師も務めましたが、44歳、病のため志半ばで天に召されます。リベラル・カレッジとしての本学は、創立時から、女性哲学者を生む自由な学風だったのです。

<参考>
粟津キヨ(1986)『光に向かって咲け』岩波書店
天達文子先生記念会編集(1989)『天達文子遺稿・追想集』粂川印刷
浅見洋(2017)『西田幾多郎の姪 高橋ふみの生涯と思想 おふみさんに続け! 女性哲学者のフロンティア』ポラーノ出版

本学のカレッジヒムは、「Come, all who love the way of truth, Rejoice in our Foundation; Come, friends of all the dreams of youth, And share our jubilation.」と歌っています。私も、できるものなら、「来たれ、真の道を愛する仲間よ。われらの源泉を誇ろう。来たれ、若き夢持つ朋よ。われらの歓びをともに歌おう。」と、今はオンライン授業に精を出している学生のみなさんに歌いかけたい思いです。
  • croSS広場からVera広場への小道の紅葉

  • 満開のさざんか

  • アドベントの光