東京女子大学では2025年6月2日(月)に株式会社INCJ代表取締役会長の志賀俊之氏(元日産自動車 代表取締役副会長)を講師としてお招きして、学会経済学部会、キャリア・センター共催の掲題講演会を開催しました。日本を代表する経営者である志賀会長から、自動車産業が直面している歴史的な変革とその影響、そして、日本の企業経営のあり方について直接ご教示いただけたことは本学学生にとって得難い学びの機会となりました。
講演では、先ず、自動車産業を襲う「100年に一度の大変革」についてご解説いただきました。ガソリン車が初めて開発されたのは19世紀の末のことですが、20世紀初頭の米フォード社による「T型フォード」の大量生産・販売に伴い、馬車の時代から自動車の時代に移行する大変革が起きました。自動車産業は現在、いわゆる「CASE」、すなわち、「Connected(つながる)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared(カーシェ、ライドシェア)」、「Electrification(電動化)」というモビリティ(移動手段)の大変革に直面しています。
志賀 俊之氏
次に、CASEによる産業構造やビジネスモデルの変化についてご教示いただきました。世界ではこれまでEV(電気自動車)へのシフトの動きが強まってきましたが、日本は諸外国に大きな遅れを取っています。他方で、足もとでは海外でもEVシフトに「急ブレーキ」がかかっていますが、EVシフトは止まらないというのが会長のお見立てです。ご自身の経験、EVのコスト構造分析、マーケティングの理論、米国のテスラ社や中国のBYD社の事例などをもとに大変わかりやすくご説明いただきました。
加えて、大変革の中で日本企業に求められている課題についての深いご見解もご共有いただきました。日本企業の強みと弱みはなにか、競争力を失ったのはなぜか、巻き返しを図るためにはどうしたらよいか、不確実な時代に求められるものはなにか。会長の洞察力に富む示唆深いご見識から多くのことを学ばせていただきました。
加えて、大変革の中で日本企業に求められている課題についての深いご見解もご共有いただきました。日本企業の強みと弱みはなにか、競争力を失ったのはなぜか、巻き返しを図るためにはどうしたらよいか、不確実な時代に求められるものはなにか。会長の洞察力に富む示唆深いご見識から多くのことを学ばせていただきました。
講演後の質疑応答では質問が途切れることなく、学生時代の学び方についても会長から助言をいただきました。AI(人工知能)万能の時代であるからこそ、自分の精神を磨き、主体的かつ積極的に行動する力を養うことが重要であるとの会長のお答えは学生の心に響くものでした。
報告者:長谷川 克之(現代教養学部 経済経営学科 教授)
森本学長(左端)も講演を拝聴、ご挨拶させていただきました
講師プロフィール
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志賀 俊之氏 株式会社INCJ 代表取締役会長/CEO
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大阪府立大学卒業後、1976年日産自動車に入社。主にアジア営業を担当し、1991年から約6年間インドネシアに駐在。1999年にルノーとのアライアンス締結に関わり、企画室長及びアライアンス推進室長を兼務。現場とのパイプ役として、日産リバイバルプランの立案・実行に参画し、2000年に46歳で常務執行役員に抜擢。2005年に最高執行責任者(COO)、2013年に代表取締役副会長に就任。2015年6月に官民ファンド株式会社産業革新機構(現INCJ)代表取締役会長に就任し、現在に至る。
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