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東京女子大学

Vol.3 榎本 裕子さん

数学の面白さを見いだす

1998年 理学研究科修士課程修了
芝浦工業大学システム理工学部数理科学科准教授

数学教育に関心を抱き、数理科学科に入学した榎本先生。研究者を志すきっかけとなった出来事は、教育実習。高校生に数学を教えるにあたって、自分の数学の知識のなさを実感したとのこと。東京女子大学大学院修士課程へ進学すると同時に早稲田大学のゼミにも参加。 

同年代の仲間と数学について語り合い、わからないことを追求する楽しさを見いだす。

さらに専門的に研究を続けたい気持ちが強まり、博士課程進学を考えるが、研究職への道が狭き門であることに対する不安は大きかった。しかし、中高数学教員 免許を持っていたので、研究者の道がだめでも数学教育に携わることが出来る支えから、早稲田大学博士課程への進学を決断した。

研究者のポストを得るまでの道のり

早稲田大学で助手をしていた頃、大学の公募を数十校受けたが、研究者のポストはなかなか得られない。

「諦めてしまいそうなこともあったが、今まで続けてきた研究を捨てる事は出来なかった。」

数年後、非常勤講師として授業を担当していた、芝浦工業大学にて、助教のポストに就く。ポストを得るまでには、研究成果を出すことに励んだのはもちろんだが、榎本先生の丁寧な指導が学生からも人気だったようで、「数学教育に取り組む姿勢も評価されたのでは。」とのこと。

新しい研究への取り組みが、より良い教育へ

 現在、研究・教育ともに熱心に取り組まれている榎本先生は、次のように考えている。

「教育だけでは自分の知っている知識を一方的に教えているだけであり、学生の気持ちがわからなくなってしまう気がする。自分も常に新しいことを研究しながら、学生に、数学を解く楽しさを伝えていきたい。」
大学生には、わからないことは自主的に調べ、自分で考えて解く習慣を身につけて欲しいと言う。榎本先生は、学生たちが演習問題を仲間同士でディスカッションし、自分たちで考え、答えにたどり着いて喜んでいる姿を目にすると、「数学を楽しんでくれている。」と実感するとのこと。

また、榎本先生の研究テーマは、非線形偏微分方程式。解くまでに数年かかることもある。自分では解けたと思っても曖昧な点が残っていたり、模索が続く。気が滅入った時の気分転換は、パズルやペットの猫8匹と遊ぶこと。

東京女子大学で数学を学ぶこと

榎本先生は、在学中、研究者として活躍されているOGの方々の存在を知り、

進路は企業に就職するだけでなく、色々な道があることを知り、研究職に関心を持った。
しかし、周囲は「就職に数学は重要ではない。」として、「考えて解く」という基本的なことを諦めている学生もいた。また、他大学も含めた理系大学生の絶対的なレベルが大学内からではわかりにくかった。榎本先生は、「進学や研究職を考える学生は、理系としての絶対的なレベルを意識する必要がある。ガイダンス等のときに進学や研究者を目指す人へのアドバイスがあるとより良かったのではないか。」と言う。進学、研究者を目指す後輩たちへ

「数学に興味があれば、どんどん取り組んで欲しい。くじけずに地道に頑張ることが大切。」
とアドバイスを頂いた。 

インタビューを終えて

榎本先生は一貫して数学教育という軸を持ち、多大な努力をされて今に至っているのだなと心から感じました。私も研究職を目指して、くじけずに努力を積み重ねていきたいと思います。長時間のインタビュー、ありがとうございました。