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東京女子大学

Vol.10 清宮普美代さん

アメリカの大学院で感じた日本との違い

1983年 文理学部心理学科 卒業
株式会社ラーニングデザインセンター 代表取締役
NPO法人日本アクションラーニング協会 代表

大学院に進学された清宮先生。海外の大学院に進学し感じたことは、学生の学びに対する姿勢だ。
日本の大学院生はアカデミックな世界にとどまりがちな傾向があるように感じた。しかし、アメリカではアカデミックな学校もあれば、専門的なスキルを向上させるために働きながら学べる実践的な大学院もある。彼/彼女らは社会を変えるべく、大学院で得た知識を積極的に活かそうとしている。 

「学習と行動」
大学院生は学んだこと、考えていること、その優れた能力をもっと世の中を良くするために使うことが求められているのではないだろうか。これからは社会を良くするために、ただアカデミックな世界に閉じこもるだけではなく、またがむしゃらに実務一本になってしまうだけではなく、学習と実践をバランス良く発揮し、柔軟に対応していくことが大切だと清宮先生は語る。

今では会社とNPO法人を切り盛りしている清宮先生だが、学生時代はなんとなくぼんやり過ごしていたという。
しかし、そんな生活は一変。東京女子大学文理学部心理学科を卒業後は、当時はベンチャー企業だった㈱毎日コミュニケーションズ(現:㈱マイナビ)に就職。そこでバリバリと働き、28歳で息子を出産。出産後すぐに課長職のオファーがあった。「これからもっと働こう!」という瞬間に子どもが生まれたので、20代後半から30代前半まではとてもフラストレーションが高い時期を過ごしたという。しかし、今思うとあのまま働き続けていたら、いつか燃え尽きていただろう。長く働くことができたのは、子どもが生まれ、働き方を見なおしたからだという。

その後、夫にアメリカの大学院に進学の話が。

「迷わずついていこうと考えました。その後の将来について考えたとき、自分もアメリカの大学院に進学し、スキルを身につけ起業しよう!」と㈱毎日コミュニケーションズを退職、家族で渡米した。
その進学した大学院で偶然にも留学生担当だったのが、アクションラーニングの権威、マイケル J. マーコード教授だった。この出会いが、今の仕事につながった。

「無を有に」

帰国後、「できない」と考えていた民間企業への就職ができた。外資系金融会社で人事からマーケティングまで幅広く手がけた。しかし、なにかが違った。
「元々あるものを壊して、新しいものを創るのが好き」と語る清宮先生。金融会社ではすでに組織が出来あがっており、「新たに何かを創り上げる」という自分の強みを活かせるものとは少し違った。やはり、自分の会社を立ち上げようと起業へ踏み出した。

「楽しい!」
現在は、株式会社ラーニングデザインセンターの代表取締役とNPO法人日本アクションラーニング協会(*1)の代表を務める清宮先生。自分の仕事によって、人がもっと調和し、活かしあえるように変わっていく瞬間にやりがいを感じるという。例えば、組織のなかの循環が「ネガティブ」なサイクルから「ポジティブ」なサイクルに流れが変わったと感じる。そんなときに自分の仕事が楽しくなる。 

「体験を自分のものにする」~後輩へのメッセージ~

清宮先生の著書

清宮先生は「自分が体験したことや他人が体験したことを自分のこととして捉え、体験を振り返り、その体験を通じ、さらに良くするにはどうしたらいいか考えられる力をつけてほしい」と語る。大学で思考基盤を手に入れたうえで、実践的な行動の部分で、自分にとってその体験とは何なのか、ひとつひとつを深く考え、振り返りながら学生生活を送ってほしい。 

インタビューを終えて

研究を進め、論文を書いていくなかで「何かが足りない」という感じることがありました。先生とお話して、ようやく求めていることがわかりました。「私には学問的な世界の体験はあっても、実践的な世界の体験が足りない!もっと実践的な場で活動し、大学で得た理論を実践的な場で活かさなきゃ!そうして初めて『学んだ』意味がある。」と。