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東京女子大学

ストーリー

[在学生]

「まだ世の中にないもの」の追究へと導いてくれたリベラルアーツの創造的な学び

数理科学科情報理学専攻4年<取材時の学年>静岡県立静岡高等学校 出身

幅広い学問領域と
キャンパスの美しさに惹かれて

高校生の頃から社会の変化を感じ取っていた。その背景にはIT技術があり、将来は社会がもっと変わっていくだろうと思うと、情報系の学問に興味が湧いた。でも、デザインやアートも学んでみたい。欲張りな私は、幅広いカリキュラムがあるこの大学に惹かれた。

受験で初めて東京女子大学を訪れ、キャンパスを一目見た瞬間に、「ここに通いたい」と心が躍ったことを覚えている。緑の芝生に映える白亜の本館。チャペルの美しいステンドガラス。それらは4年間を過ごした今でも変わらず美しく、私の心をとらえて離さない。正門を通るたびに「今日も頑張ろう」と前向きにさせてくれる、大切な風景だ。

教養とは、単なる知識や経験ではなく、
それらが絡み合ってできる人間性でもある

入学してからは、専門領域に限らず、興味のあった美術や心理学も学んだ。

印象に残っているのは「美術論」の授業。美術と宗教・歴史の関係について学ぶ授業で、たとえば戦争が過激化すると戦意高揚を目的とした絵が流行ったり、逆に日常的で平和なモチーフが描かれたりすること、西洋画は聖書をモチーフにした絵画が非常に多いことなどを学んだ。高校時代とは違う世界史に、新たに出会い直していくような感覚だった。

授業で学んだ内容や自分が感じたことを言葉にし、レポートとしてまとめることに苦手意識を持っていたけれど、この授業でレポート課題にたくさん取り組んで、その抵抗感も払拭できた。論述を確かなものにするために、キリスト教を学び直してみたり、実際に美術館に足を運んでみたりと、講義以外の場でも工夫して学び、自分自身で思考する力が鍛えられたと思う。

心理学の授業もたくさん受講した。デザインの受け手の心理を考える授業は、卒業論文にも生かされた。多様な学問に触れ、世界の広さに驚き、考えの狭さを改めることを繰り返した。さまざまな授業を受けて、豊かな思考を育むには、多角的な学びが必要だと気づいた。

卒業を迎えようとしている今、教養とは単に知識や経験の集合ではなく、それらが絡み合ってできる複雑なものであり、「人間性」とも言えるものだと考えるようになった。人は学ぶほどに、奥ゆかしくなるのではないかと思う。

皆が笑顔で豊かな生活を送れる
デジタル社会に貢献する

情報理学専攻は、一学年40人に満たない小さな規模だが、数理科学科のための図書室が複数あり、教授との距離は近く、学習環境は快適だ。学生一人ひとりに手厚いサポートが用意されていて、職員の方々もとても熱心。大げさでなく「自分のためにある大学」と感じられる。

一人ひとりへのサポートが手厚いのは、就職活動でも同じだった。3年生の1月末まで進学を希望していた私は、2月に入るまで就職活動にはまったく手をつけていなかった。焦りを感じてキャリア・センターに相談に行ってからは、数カ月間、精神的なことも含めてサポートいただいた。活動開始時期が遅かったことで最後まで不安はあったものの、無事に内定をいただいたときは心底ほっとし、キャリア・センターのおかげだと思った。

今は、ゼミで「ジェネレーティブAI」という概念を用いた、創造的なデザイン手法の研究をしている。ジェネレーティブAIは、これまでのような「正解」を見つけるためのAIではない。むしろ、人間の脳では考えられないたくさんの候補をはじき出し、人間がその中から最適な設計・デザインを選び出すことを可能にする。たとえば、設計者があらかじめパラメーターを入力すると、コンピュータがパラメーターをランダムに決めて計算を行い、たくさんの設計結果を出力してくれる。設計者はそこから最適な候補を絞り出し、デザインをカスタマイズする。つまり、コンピュータとデザイナーが共同で設計・デザインを行う技術ともいえるものだ。

私がデザインの題材に選んだのは、洋服だ。買い物に出かけてもピンとくる服に出合えないことが続き、「ないなら自分でデザインできるプログラムを構築してしまおう」と思ったことがきっかけだ。研究では、人体の座標データから洋服の座標をあらゆる方法で計算し、袖口やスカートの曲線等を描き出している。いろいろな模様を数学的観点で美しく描く面白さはもちろん、世の中にないツールを「開拓」する楽しさがある。

卒業後はIT企業で働くことが決まっている。夢は、デジタルに強い人も、苦手な人も、皆が笑顔で豊かな生活を送れるデジタル社会をデザインすることだ。自分が考えたサービスで人々の生活に花を添えたいと思う。

東京女子大学では、多様な学びが世界を広げ、人間性を作り出すこと、人との関わり合いが自身を豊かにすることを学んだ。これからも東京女子大学での学びを胸に、より必要とされる人になるために成長し続けたい。