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東京女子大学

ストーリー

[在学生]

語学以上の成長実感を得られた留学や大学での学び

国際英語学科国際英語専攻4年<取材時の学年>千葉県・私立国府台女子学院高等部 出身

異文化を深く学べる環境に惹かれて

子どもの頃から絵を描くことが好きだった。とくにディズニー映画が好きで、「英語のままで理解できるようになりたい」と思ったのが、英語に興味を持った原点だ。中学・高校と英語のレベルが上がっていく中で、英会話だけでなく高度な英語の文章やその裏にある文化的背景に興味を持った。

高校2年生の時には、イギリスでの語学研修に参加。観光で中世の教会を訪れるなど語学以外の体験もできるプログラムだった。初めての異文化は本当に新鮮で、2週間の滞在を経た後、「異国の文化にもっと触れたい」と思うようになった。

東京女子大学を知ったのは、高校の進路相談の時だ。そこで手渡された大学のパンフレットに、卒業生が「東京女子大学は、英語圏の文化にたくさん触れる機会がある」とコメントしていた。語学そのものだけでなく、文学や文字を通して、その国独自の考え方に触れる機会がたくさんある。異文化の学びを深めたいと思い、入学を決めた。

自分自身をエンパワーメントしてくれた
女性学との出会い

入学してからは、文系・理系の枠にとどまらないリベラルアーツ教育の恩恵をたっぷり受けた。とくに大きな出会いとなったのが、女性学だ。

英語は言語だから、より高度な英語力を望むなら、自分の考えを整理して自分の言葉で語れるようになることが大切だ。でも、私自身は自分の思いを言葉にするのが得意ではなかった。

女性学は、社会の中、人々の心の中にさまざまな形で表れるジェンダーバイアスを紐解いていく。その過程を通して私は、私自身にも「女性だから」と押しつけられる無意識の圧力が働いたことに気付いた。そして、自分がこの社会で自立して生きていくために、日常生活の違和感や悩みを言葉にすることが大切だ、と感じられるようになった。

この発見は、英語で自分を表現する上でも大きな力になったと感じている。

所属する国際英語専攻では、2年次に全員が海外研修を経験する。しかし、私が2年次だった時は新型コロナウイルスが蔓延し、海外への渡航が制限されていた時期と重なり、オーストラリアの大学にオンラインで留学することになった。初めての留学がオンラインとなったことで不安はあったが、同じようにオンライン留学している他国の友人ができ、刺激を受けたことで積極的になれた。

留学では議論の機会が多かった。日本語でのコミュニケーションは、事実よりも感情に寄り添い、相手の気持ちを汲み取って妥協の上の結果になることがある。しかし多様な価値観を持つ人々と議論をする際は、感情ではなく事実に基づき、状況を的確かつ客観的に判断し、合理的に物事を考える思考が必要となる。女性学に加え、こうした「クリティカル・シンキング」を実践で学んだことも、物事を批判的に見る姿勢や、自分の意見を整理して表現する力を育ててくれたと思っている。

多角的に捉える視野を
映像制作に生かしていきたい

こうした学びを経た今、私はイギリス文学のゼミに所属し、スタジオジブリの『借りぐらしのアリエッティ』という作品と、その原作であるメアリー・ノートン作『ボロワーズ』という作品をフェミニズム的観点から比較研究している。ジブリ作品には性別役割分業を基にして形成された家族像が描かれる一方、メアリー・ノートンの作品はどのような家族像が前提になっているのか。両作品に見られる性的役割分業に焦点を当ててつ比較する、とても挑戦的なテーマだ。研究の途中で何度も挫折しそうになったが、この大学で得たフェミニズムの視点を、幼い頃から好きだったアニメや映画鑑賞にも生かしてみたかったのだ。

卒業後は、アニメ制作会社でアニメーターとして働くことが決まっている。幼少期から憧れだった仕事だ。

制作現場では、絵を描く人だけではなく、監督やその他さまざまな人の仕事を理解し、ともに作り上げることが大切になるだろう。この大学で得た、社会の諸相を批判的・多角的に物事を捉える力や、多様な価値観を理解しながら自分の意見を表現する力は、きっと作品のインスピレーションに、そして、携わる人々との関係づくりに生かされると信じている。人の心を感動させられる作品を、さまざまな人とともに作り続けていくのが、私の目標だ。