概要
本プログラムは数学の未解決難問に対する計算機援用証明法の可能性を探ることを目的として、2025年2月9日(日)から2月15日(土)に実施されました。数理科学科の学生と各国から集まった参加者らで、精度保証付き数値計算に基づく最新の研究内容を学び、意見交換を行うとともに、企業訪問や日本文化の体験を通じて、研究交流の新たな展開を期待する内容となりました。
さくらサイエンスプログラムとは
新たな時代の社会を担う、世界の優れた人材を日本に短期間招き、日本の最先端の科学技術や文化に触れていただくプログラムです。日本の受入れ機関と、海外の送出し機関が作成した交流計画を幅広く公募し、採択しています。(公式サイトより抜粋)
さくらサイエンスプログラムとは
新たな時代の社会を担う、世界の優れた人材を日本に短期間招き、日本の最先端の科学技術や文化に触れていただくプログラムです。日本の受入れ機関と、海外の送出し機関が作成した交流計画を幅広く公募し、採択しています。(公式サイトより抜粋)
参加者
中国科学技術大学:5名
青島大学:1名
貴州師範大学:1名
台湾国立成功大学:1名
青島大学:1名
貴州師範大学:1名
台湾国立成功大学:1名
スケジュール
実施内容の詳細
1.オリエンテーション
2月10日(月)に実施されたオリエンテーションでは、プログラム全体の日程、在日中の注意事項、ならびに日本語の日常会話の授業が行われ、来日学生がスムーズに日本の生活や交流に慣れるためのサポートを行いました。
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羽田空港に到着した学生と迎えに来た学生
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キャンパスを見学する様子
2.意見交流会
2月11日(火・祝)の午後、学生の発表会を行いました。当日の夕方、来日学生と東京女子大学の学生・教員が各自のキャンパスライフや研究活動について情報交換を行い、国際的な視点からの意見交流が深まりました。
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発表会での討論の様子
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学生発表会の様子
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学生によるキャンパスライフの紹介
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交流会の様子
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交流会後の集合写真
3.計算機援用証明に関する講演(2月12日(水))
中尾充宏九州大学名誉教授(日本応用数理学会フェロー、文部科学大臣表彰科学技術賞受賞者)、劉教授、及びDC特別研究員 遠藤凌輝先生による講演では、
・数学の未解決問題に対するアプローチ
・初期値問題や偏微分方程式の解の存在検証、ナビエーストークス方程式の検証と固有値評価
といった、計算機援用証明法の多角的な応用と最先端の研究成果が紹介され、参加者は理論と実践の双方から深い知見を得ました。
・数学の未解決問題に対するアプローチ
・初期値問題や偏微分方程式の解の存在検証、ナビエーストークス方程式の検証と固有値評価
といった、計算機援用証明法の多角的な応用と最先端の研究成果が紹介され、参加者は理論と実践の双方から深い知見を得ました。
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劉教授の講演
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劉教授の講演を聞く
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遠藤先生の講演
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遠藤先生による講演後の学生指導
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中尾先生による「計算機援用証明と未解決問題への挑戦」の講演
4.精度保証付き数値計算法の修得に向けた集中講義(2月13日(木))
千葉工業大学の関根晃太准教授と劉教授が担当する集中講義では、精度保証付き数値計算の基礎知識と実践的なプログラミング技術の習得を目指し、参加者は最新の教育システムを活用しながら実践的な学習を進めました。
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関根先生の集中講義の様子
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集中講義後の写真
5.企業見学と日本文化体験
企業見学: 2月12日(水)の午後には、半導体計測分野で活躍するナプソン株式会社を訪問し、日本企業のものづくり技術の高さを体験しました。さらに、2月13日(木)にはGoogle日本支社(グーグル合同会社)を訪問し、IT分野におけるグローバル企業としての革新性について学びました。
文化体験: 渋谷と代々木公園を見学し、参加者は日本の伝統と現代文化の調和を肌で感じるとともに、千葉のホテルにおける懐石料理の体験や、池袋・吉祥寺周辺の多彩な日本料理店を訪れることで、日本ならではの食文化にも触れました。
文化体験: 渋谷と代々木公園を見学し、参加者は日本の伝統と現代文化の調和を肌で感じるとともに、千葉のホテルにおける懐石料理の体験や、池袋・吉祥寺周辺の多彩な日本料理店を訪れることで、日本ならではの食文化にも触れました。
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ナプソン株式会社を見学
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クリーンルームに入る前(ナプソン株式会社)
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Google日本支社訪問時の集合写真
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Google日本支社で働いている梁先輩との交流
本プログラムは、東京女子大学の学生と海外の学生との貴重な交流機会となりました。
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来日学生と本学学生との交流
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羽田空港から帰国する学生と送迎の学生
以下、参加者の感想をご紹介します。(学年は開催時のもの)
片桐 里菜さん(数理科学科 情報理学専攻4年):初めて英語での発表会に参加し、緊張しましたが、とても貴重な経験になりました。留学生の方々の発表資料は自分の専門と関連しているものが多数あったこともあって興味深いものが多く、研究内容にも強く関心を惹かれました。また、懇親会でのプレゼンでは、日常生活についての話題も日本とは大きく異なり、とても面白かったです。
この経験を元に、今後様々な交流を積極的に図ることができるようになりたいと思います。
この経験を元に、今後様々な交流を積極的に図ることができるようになりたいと思います。
内藤 りり子さん(数理科学科 情報理学専攻4年):今回のプログラムでは、海外の人と交流し、お互いの研究内容を共有する貴重な機会を得ることができました。初めて留学生と話す機会があり、最初は緊張しましたが、皆優しく、積極的にコミュニケーションを取ることができました。そのおかげで視野が広がるとともに、新しい友人もでき、とても嬉しかったです。多くの刺激を受け、有意義な時間を過ごすことができました。また、千葉工業大学での授業では、数値計算についてプログラミングを交えながら学び、知識を深めることができました。さらに、ナプソン社の工場見学では、抵抗に関する興味深い話を聞くことができました。実際に機械を見ながら解説を受けることで、技術がどのように形になり、社会で活用されているのかを実感しました。工学の分野の奥深さや、ものづくりの現場の面白さを改めて感じることができました。今回の経験を通じて、多くの学びや出会いがあり、とても充実した時間を過ごすことができました。今後もこのような交流の機会があれば、ぜひ参加したいと思います。
WANG Shixi(王世喜)さん(大学院生), 来日学生 : The Sakura Science Program proved to be an incredibly enriching experience. From the moment we were warmly received at the airport on February 9th to the heartfelt farewell on February 15th, every single moment was a testament to the host's meticulous attention to detail. The lectures on the Japanese language and culture, along with the academic exchanges, significantly deepened our comprehension of both the academic and industrial landscapes. The visits to the companies in Chiba and Google provided a precious chance to translate theoretical knowledge into practical application. Professor Xuefeng Liu's lecture on eigenvalue lower bounds was particularly illuminating. It not only demonstrated his profound understanding of the subject but also vividly showcased his unwavering dedication and passion for academia. All in all, this was a truly memorable and inspiring journey that left a lasting impression on all of us.
総括
今回のプログラムは、計算機援用証明法を通じて、数学の未解決難問に挑むという共通のテーマのもと、国際的な研究交流と技術習得の場として大きな成果を上げました。各国からの参加者が互いに学び合い、日本の最先端技術や文化に触れることで、将来的な共同研究や国際交流のさらなる発展が期待されます。