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東京女子大学

ストーリー

[教職員]

Web3時代にふさわしい情報デザインでサステナブルな社会の実現に貢献する

東京女子大学 現代教養学部 心理・コミュニケーション学科 教授 渡辺 隆行(取材当時)

高度な情報社会に暮らす私たちにとって、情報を使える、情報が使いやすいことは非常に重要になっています。情報デザインとは、情報を人々が理解しやすく、効果的に伝えるためのデザインのこと。デザインと聞くとアート的なもの=「どう見せるか」を想起しがちですが、情報デザインでは「人間中心設計」の考え方に立ち、人々のニーズ・能力・行動の理解に焦点を当て、その情報を誰がどのように使うか、理解するか、すなわち「どう伝わるか」を深く考察します。

近年注力しているのがブロックチェーン※1技術を使ったWeb3による社会課題解決型の情報デザインです。Webの歴史は世界中のWebサーバをハイパーテキストでつなぐWorld Wide Webに始まり(Web1.0)、Ajax技術の登場によりSNSなど双方向型のコミュニケーションができるWeb2.0時代に入りました。しかしWeb2.0には中央集権的な情報管理者が必要で、例えばSNSに投稿しても、管理者がサービスを終了すればデータは削除されます。これに対し、Web3は中央集権的な管理者がおらず、ユーザ同士が直接つながりデータは個々で分散管理されます。この情報の「分散」は、ボトムアップな社会改革を起こすのに重要なキーになるのではないかと考えています。現在、ブロックチェーンを活用してデジタル世界のアイテムに経済的な価値が付くNFT※ 2や暗号資産が生まれ、これを応用してメタバース※3での経済活動が始まっています。私自身も、大学の壁を越えた自由な教育の提供を目指し、ブロックチェーンの特性を生かした多元型・進化型の大学教育の提案などに取り組んでいるところです。

現代は経済成長のために地球環境が破壊されるという非常に大きな問題を抱えていますが、サイバー世界であるメタバースでの経済活動は環境負担を軽減できる可能性も秘めています。メタバース社会で経済発展しながら、リアルな世界では自然を大事にした暮らしをする。そんな未来をWeb3での情報デザインで実現できないかと思うのです。世の中の問題を解決したいという意欲のある学生、「Can I do?」ではなく「How can I do?」と考える人たちとともに、この難題に取り組んでいきたいと思っています。
研究キーワード 情報デザイン / 人間中心設計 / UXデザイン / UIデザイン / ヒューマンインタフェース / ユニバーサルデザイン / ユーザビリティ / アクセシビリティ / Human-Computer-Interaction / デザイン思考 / ジェンダー / 情報福祉工学 / Webアクセシビリティ / Web / JIS

渡辺 隆行
東京女子大学 現代教養学部 心理・コミュニケーション学科 教授(取材当時)

博士(理学)。1998年までは物理学を専門とし、東京大学大学院理学系研究科物理学教室にて助手を務める。のち、情報工学分野に転身。専門は情報デザイン、人間中心設計を基本としたユーザビリティ、Webアクセシビリティ、ユニバーサルデザイン、UXデザイン、デザイン思考など。実証研究をベースに、技術から人・社会に至るまでの幅広い階層で、研究・教育・実践に取り組む。現在はブロックチェーンを基盤にしたWeb3による社会課題解決に注力している。