申込不要受付中締切間近終了
東京女子大学

2018年度 コミュニティ構想専攻が新設されます(『学報』2017年度第3号より)

観光やまちづくりをリベラル・アーツで考えることをめぐって
ーコミュニティ構想専攻立案の楽屋裏で感じたことー

国際社会学科 社会学専攻教授  伊奈 正人    
(2018年度より同学科コミュニティ構想専攻所属)

●魅力ある教育を紡ぐことば
 国際社会学科にコミュニティ構想専攻が新設されることになった。環境と風景、観光とまちづくり、地域経営と地域振興、ジェンダーとひとづくり、サブカルチャー、身近な法制度などのトピックを扱う専攻である。生活圏の体験的な学びをベースにし、実践性をとりいれた新しいリベラル・アーツ教育を工夫することで、学部再編に貢献することをめざしている。
 学長、前副学長と審議を重ね、学内の有識者も交えて知恵を出し合い、トピックやアイディアをまとめた。ここでは、案文を作成した作業をふりかえりながら、感じたことを体験談風に語ってみたい。授業科目を設計する際に支えとなったのは、付け焼き刃の知識ではなく、同僚や学生のことばだった。


●コミュニティ構想という専攻名
 熟さない紋切型のことばで「PBLの導入ではなく本学独自のメソッドを創りましょうよ」などと気負っても、最初はすべてが五里霧中だった。しかし、新しい専攻名を示されて、専攻のイメージがはっきりした。
 コミュニティは、地域社会や共同体という意味もあるが、平和、共生、開発、福祉、幸福などを総括する理念でもある。このことばを用いれば、本学の社会科学の伝統を踏まえた案ができるかもしれない。国際社会学科における実践的な学びのハブにできないか、などと夢は膨らんだ。
 いろいろ教わり、アクティブな学びというものもイメージが一新された。それは、実学への要請に応える面もあるが、学生の学習意欲の変化=中等教育の急速な変貌に対応するためのものでもあるようだ。なかでも次の教えは印象深い。「いまどきの学生は、質問も立論もできず、論文も書けない、といった批判がなされている。しかし、プロジェクトをやらせてみると、学生は見違えるようになる」。本学が掲げる実践性の意味=新専攻の魅力をクリアカットするように思えた。

(続きは『学報』本誌でご覧になれます)