心理・コミュニケーション学科
心理学専攻
科学的なアプローチで
心のはたらきを知り、人への理解を深めます
認知心理学・社会心理学・発達心理学・臨床心理学の4領域を基盤に、多角的に学びます。心理学の研究は、見る、聞く、考える、記憶する、話す、よろこぶ、悩むなど、人のあらゆる心のはたらき、行動のメカニズム、誕生から死までの生涯発達のプロセスなどが対象です。それらを実験や観察、調査、面接を通して科学的・実証的に明らかにします。さらには、人びとが個や集団でどのように影響を与え合うのかを考察し、悩む人に実際に役立つ支援についても考えていきます。実験・実習や少人数による演習を重視しながら、心をとらえる視点と方法を一人ひとりが着実に身につけ、現代社会に生きる人間の心の諸問題を解決する力を養うことを目指します。
- 学べること
- 視覚と聴覚 / 記憶と思考 / こころと社会 / 自己と他者 / 発達心理学 / 教育・学校心理学 / 臨床心理学 / 家族心理学
専門分野
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- 社会心理学
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社会的動物である人のこころの働きについて、個人、対人関係、集団、社会との関わりの多側面から検討する。
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- 発達心理学
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認知・情動・社会性の発達などを対象として、人が生まれてからその一生を終えるまでの変化の過程や要因を探る。
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- 認知心理学
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知覚・記憶・思考・生理・神経などを対象として、心の働きを理論的に解明するのみならず、その現実場面における働きを理解する。
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- 臨床心理学
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心の健康への理解を深め、生きにくさを抱える人の心を理解し、支援や予防についての実践や研究を行う。
学びのポイント
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01
人の行動・対人関係・社会を支える心のはたらき
「見る・聞く・感じる」という低次から「思考・判断」といった高次までの心のメカニズム、他者との関わりや集団の中での心のはたらき、心の発達や変化の過程とその仕組みの理解、さらには障がいや悩みを抱えた心とどう向き合うかなど、人間のあらゆる活動を支える“心”について、多角的に扱います。
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02
科学的・客観的アプローチで心に迫ります
心理学では、仮説を立てて、実験、調査、観察、面接などの客観的な方法でデータを集め、統計的な分析を行い、仮説を検証するという実証研究によって心の謎に迫ります。研究手法と統計分析を段階的に学び、卒業論文ではオリジナルな実証研究に取り組みます。
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特色
- 1年次から実験演習と心理検査実習に取り組みます。
- 人の心のはたらきを多角的に探究します。
- 公認心理師資格に対応しています(4年次に実習科目があるため3年次前期終了後に選抜を行います)。
- 実験・観察・調査・面接等を体験し、データの取り方、処理の仕方を身につけます。
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身につく力
- 心という目に見えない対象に、科学の手法で迫る力
- 心の問題から現代社会の課題を読み解く力
- 統計処理、プレゼンテーションなど、社会でも役立つスキル
カリキュラム
4年間のカリキュラム概要
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1年次
幅広く心理学の知識を身につけ、実験・心理検査の基本を学びます。
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2年次
心理学を研究するための方法やデータ分析の実際を学びます。
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3年次
心理学のさまざまな分野について理解を深め、研究能力を高めます。
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4年次
自分の研究テーマに取り組み、卒業論文を完成させます。
主な授業内容
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心理学の基礎
心理学概論/知覚・認知心理学概論/社会心理学概論(社会・集団・家族心理学)/発達心理学概論/臨床心理学概論
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心理学概論では、心理学とはどのような学問なのか理解することを目的とし、心理学の各領域の基礎的知識を学びます。心理学の4領域の概論は、2年次以降に履修する各領域の特殊講義を理解するための導入的な位置づけとして、各領域の基礎となる理解を養います。
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2年次演習(心理学)A・B
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「1年次演習」を踏まえて、心理学の基礎的な内容を題材とした演習を行います。担当教員の専門領域をテーマとして文献講読や発表と質疑応答の訓練を行い、取り上げたテーマを深く理解する力をつけていきます。「3年次演習」は、より発展的な内容を扱い、「4年次演習」では卒論担当教員のゼミに分かれて実験・調査を進めていきます。
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心理学特殊演習(先端/応用)
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認知心理学、社会心理学、発達心理学、臨床心理学というオーソドックスな内容をこえた応用的なテーマや、現代社会で問題となっている新しいトピックについて学びます。
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◆認知心理学
知覚心理学
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ものを見る、音を聞くといった知覚の働きについて、デモンストレーションを交えながら解説します。他に、注意・記憶は「認知心理学」、思考・言語は「思考心理学」、こころと脳・身体の関連は「神経・生理心理学」で学びます。
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◆こころと社会
社会心理学(対人過程)
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対人関係に関わる心理や周囲の他者や社会との関わりの中で生まれる心理について、主要なトピックを解説します。ほかに、「社会心理学(個人内過程)」「社会心理学(マクロ・集団)」などがあります。
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◆発達心理学
発達心理学(情動発達)
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子どもが他者の感情を理解する過程や、自分の感情をコントロールする過程について発達心理学の観点から解説します。ほかに、「発達心理学(社会発達)」「発達心理学(認知発達)」などがあります。
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◆臨床心理学
家族心理学
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家族というまとまりとつながりに関する理解や、そこで抱えられやすい課題とその支援のための手続きや技術について、心理臨床の立場から解説します。ほかに、「心理学的支援法」「教育・学校心理学」「産業・組織心理学」「健康・医療心理学」などがあります。
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◆心理統計
心理学統計法1・2
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心理学の実証研究に不可欠な心理統計について学びます。統計的知識、データ整理および統計分析に関して、理論から実践まで幅広く理解することにより、基礎的な論文作成の技法を習得することを目指します。
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◆実験法・観察法・調査法・面接法
心理学実験入門(心理学研究法Ⅰ)
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心理学の実験とは?といった疑問から始め、なぜ心理学では実験が重要なのか、心理学における実証研究の意義について実際に実験をしながら学びます。実験・実習科目を学ぶための基礎を身につけます。
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心理学実験演習ⅠA・ⅠB・Ⅱ(実験法/調査法/質的アプローチ)・Ⅲ(実験法)
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心理学の各領域における研究法(実験法、観察法、質問紙調査法、面接法など)について、実際に体験しながら実習形式で学びます。統計解析やレポートの執筆方法についても実践的に学びます。
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発達臨床基礎実習(心理学研究法Ⅱ)/心理的アセスメント
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観察法、面接法、ならびに性格検査や知能検査について、検査者と受検者の役割を実際に体験しながら、それぞれの検査技法の理論と具体的な実施方法、結果のまとめ方を学んでいきます。
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心理学特殊実験演習
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3年次後期に2コマ連続(180分)で授業を行います。卒業論文の準備段階から実際に論文を作成する過程で必要な知識とスキルを習得します。問題意識を明確にし、それに基づいてテーマを絞り、具体的に研究計画を立てて研究を実施していきます。
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主な演習授業
東京女子大学では、特色ある多彩な演習授業を1年次より履修します。
少人数クラスを基本とし、討論や研究発表を行う演習形式の授業を通して、異なる意見と向き合い、協働して問題解決に当たるなど、自ら学び考える力を養います。
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- 1年次演習(心理学)
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担当教員: 花田 里欧子 / 平林 秀美 / 田中 健夫 / 前川 あさ美 / 森田 慎一郎 / 山口 慶子
1年次の演習では、最初にこれからの4年間の学びの基礎となる知識や技能について学びます。その上で、演習形式の授業において、心理学の入門的なテキストを講読することを通して、文献を批判的に読むことを学びます。
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- 2年次演習(心理学)A・B【6クラス】
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担当教員: 田中 健夫 / 田中 章浩 / 上野 泰治 / 正木 郁太郎 / 工藤 恵理子 / 平林 秀美 / 前川 あさ美 / 森田 慎一郎 / 花田 里欧子 / 山口 慶子 など
担当教員の専門領域をテーマとする文献の講読と発表・質疑応答を通して,心理学の各領域のテーマを深く理解する力をつけていきます。前期と後期でそれぞれ認知・社会・発達・臨床の,異なる分野のゼミを履修することが推奨されます。
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- 4年次演習(心理学)A・B【9クラス】
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担当教員: 田中 章浩 / 上野 泰治 / 工藤 恵理子 / 正木 郁太郎 / 平林 秀美 / 田中 健夫 / 花田 里欧子 / 前川 あさ美 / 森田 慎一郎 / 山口 慶子
認知・社会・発達・臨床の各分野のゼミに分かれて、各自が関心をもつ研究テーマについて、関連文献を検索・精読して研究計画を立案し、実験・調査・観察・面接などを通してデータを収集し、データを整理・分析してまとめます。
2023年度
卒業論文題目より- ディープラーニングと心理実験を用いた懐かしさ感情の検討
- テンポとリズムの複雑性がグルーヴ感に与える影響
- 聴覚情報がラバーハンドイリュージョンに与える影響
- 情報呈示がステレオタイプ抑制に及ぼす影響
- 消費者行動におけるバンドワゴン効果
- Instagramの利用と自己の外見魅力へのネガティブな意識との関連
- 絵本の読み聞かせが幼児の向社会的行動および想像力に及ぼす影響
- 次世代育成力に影響を与える要因
- 発達に偏りのある子どもの「こだわり」とコロナ禍
- 母親からの精神的自立が女子大学生に与える影響
- 大学受験勉強におけるストイックさが入試結果に対する満足度やアイデンティティに及ぼす影響
- 大学生における食行動と家族の凝集性との関連
専任教員
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教授 上野 泰治記憶 / 言語 / 神経 / ニューラルネットワーク / 脳刺激 / 脳損傷
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教授 工藤 恵理子社会的認知 / 社会的推論 / 対人認知 / 自己
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教授 田中 章浩多感覚コミュニケーション / 顔 / 声 / 音楽 / 文化差
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教授 田中 健夫青年期の発達 / 精神分析的心理療法 / 乳幼児観察 / 加害者性と被害者性
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教授 花田 里欧子家族 / コミュニケーション
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教授 平林 秀美情動発達 / 社会性の発達 / 子ども
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教授 前川 あさ美発達障害 / 虐待 / いじめ / LGBTQ / 喪失体験 / トラウマ / レジリエンス
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教授 森田 慎一郎職業決定 / メンタルヘルス / 認知行動療法
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特任准教授 山口 慶子臨床心理学 / 質的研究 / ナラティブ / 感情調整 / 精神医療 / 臨床査定 / 心理職の発達
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准教授 正木 郁太郎組織 / ダイバーシティ / 規範・文化
資格・進路
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取得可能な資格
心理学専攻の学生は、所定の課程を修了することで、以下の資格を取得できます。
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認定心理士
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公認心理師(大学院進学後に受験資格)
※4年次に実習科目があるため3年次前期終了後に選抜を行います。 -
学芸員
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卒業後の進路
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進路先
インフラ:東京電力ホールディングス株式会社 / 運輸:佐川グローバルロジスティクス株式会社/全日本空輸株式会社 / 卸売・小売:タキヒヨー株式会社/三菱商事パッケージング株式会社/ロクシタンジャポン株式会社/株式会社JR東日本クロスステーション/丸紅インテックス株式会社 / 教育・医療・福祉:株式会社河合塾マナビス/学校法人東京歯科大学/学校法人聖学院/社会保険診療報酬支払基金/独立行政法人地域医療機能推進機構/東京ベイ・浦安市川医療センター / 教員・公務員:岩手県/埼玉県/世田谷区/台東区/荒川区/栃木県/西東京市/山形県/特許庁/今治市役所 / 金融:株式会社静岡銀行/株式会社常陽銀行/株式会社千葉銀行/三井住友信託銀行株式会社/日本マスタートラスト信託銀行株式会社/中央労働金庫/株式会社セブン銀行 / 広告・コンサル・学術:西村あさひ法律事務所/アクセンチュア株式会社/有限責任あずさ監査法人/株式会社日経リサーチ/株式会社ADKホールディングス/株式会社進研アド/株式会社博報堂プロダクツ/デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社/株式会社リクルート / サービス:日本年金機構/株式会社ヤマハコーポレートサービス / 出版・マスコミ・エンタメ:株式会社富士巧芸社 / 情報通信:日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社/株式会社大和総研インフォメーションシステムズ/三菱UFJトラストシステム株式会社/ニッセイ情報テクノロジー株式会社 / 製造・建設:株式会社シーボン/日本光電工業株式会社 / 不動産・物品賃貸:三井不動産リアルティ株式会社/東武タウンソラマチ株式会社/株式会社サンケイビルマネジメント / 進学:東京女子大学大学院/明治学院大学大学院/文教大学大学院/桜美林大学大学院/国際医療福祉大学大学院/東京成徳大学大学院/聖徳大学大学院/明星大学 など
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心理学専攻の
先輩の声-
子ども時代の温かな経験を育む支援員を目指して
心理・コミュニケーション学科心理学専攻4年次<取材時の学年>東京都・私立晃華学園高等学校 出身
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持病を通じて、将来を考えるきっかけになりました
心理・コミュニケーション学科 心理学専攻 1年次<取材時の学年> 京都府・私立京都芸術大学附属高等学校
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こころの健康を維持・促進することが心理学を学ぶ意義だと感じています
心理・コミュニケーション学科心理学専攻3年<取材時の学年>愛媛県立今治西高等学校出身
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学生一人ひとりの関心に気づき、受け止めてくれる環境だからこそ、研究を続ける道を選べたのだと思う
心理・コミュニケーション学科心理学専攻4年<取材時の学年>山梨県立都留高等学校 出身
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人の心は多様で、未知なもの。セルフコントロールにも役立つ心理学
心理・コミュニケーション学科心理学専攻3年<取材時の学年>神奈川県・私立横浜女学院高等学校 出身
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興味のあった心理学を学び、大学院への進学を決めました
人間科学科 心理学専攻4年<取材時の学年>千葉県立 八千代高等学校出身