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東京女子大学

第16回 丸山眞男文庫記念講演会(2015年11月27日)

古矢 旬(北海商科大学教授・北海道大学名誉教授)「丸山眞男と「アメリカ問題」」

丸山眞男とアメリカとの関わりについては、すでにこれまで入江昭、清水靖久、油井大三郎各氏をはじめとする方々が、当センターの企画にかかる講演会や研究会等において、報告をされている。これらの報告以外にも、丸山の直接、間接の、また個人的、学術的な「アメリカ経験」に多少とも言及する丸山眞男研究は少なくない。そのことは、丸山の学究生活が、アメリカ合衆国を最大の一方当事国とする太平洋戦争と冷戦という国際政治の大枠の内で展開されてきたことを思うならば当然といえるかもしれない。政治学者としての、また知識人としての丸山が、主たる学究対象、批判対象としてきた日本政治は、その間(そして今日もなお)まさに合衆国によって翻弄されてきたからである。

しかし他方で、このアメリカの影の濃さと大きさに比するとき、これまでの丸山眞男研究において論じられてきた丸山の「アメリカ問題」認識は、やや断片的、あるいはエピソード的な印象を免れない。それは、あるいは「アメリカは分からない」「アメリカは不可解である」という丸山自身のアメリカに対する学術的、文化的な違和感に由来するのかもしれない。この点も含め、丸山は、その世界認識、歴史認識において、「アメリカ」をどのような枠組みの内にとらえ、その存在意義を自らの政治思想史研究の中にいかに位置づけていったのかを試論的に検討してみたい。