人文学科
日本文学専攻
日々の言葉を見直し、
日本の文学や文化の価値を
さまざまな角度から考えます
日本文学専攻では、日本語学と日本文学・文化の2部門を柱として、その有機的結合を目指しています。普段、何気なく使っている言葉を、新たなまなざしで見直すことが、学びのスタート。
文学作品を通じ、言語や作品の分析はもちろん、さまざまな文化事象との関係も学びながら、自己や社会にとっての言葉や言語芸術の意味を深く考えていきます。中国や欧米といった外国文学との比較の視点も導入し、古典から近現代まで、幅広い角度からの考察を進めます。
- 学べること
- 日本語史 / 現代日本語 / 方言 / 日本語情報処理 / 日本古典文学 / 日本近現代文学 / 中国の文学と文化
専門分野
-
- 日本語
-
ふだん何気なく使っている日本語について、現在の用法、性・年齢・地域による使い分け、歴史的な変遷などを考えます。
-
- 日本文学と文化
-
古くは神話・歌・芸能、新しくはラノベやアニメまで。日本語が紡ぐ物語を通じて、人の心や社会、文化などを考えます。
学びのポイント
-
01
日本語に関わることならすべてが研究対象です
日本語の歴史、方言、日本の古典や近代文学の価値、中国の文学と文化(漢文学)と日本文化の関係など、日本語に関わるすべての問題がテーマになりえます。ひとつの時代を総合的な視野で見たり、時代的な変遷を追ったり、日本と外国を比較したり、登場人物や創作者の心理を探究するなど、さまざまなアプローチで問題意識に応えます。
-
02
伝統的な語学・文学研究と新しい研究領域を融合
言語の研究や文学研究には長年の蓄積がある一方で、異文化を背景とする文学作品との比較研究やコンピュータによる言語情報処理、歴史・思想・心理といった隣接学問の応用などの新しい研究方法も現れてきました。新旧を融合させた幅広い研究方法を学びます。
-
特色
- 日本語に関わることなら、何でも研究対象です。
- 伝統的な語学・文学研究とデータサイエンスなど新しい研究領域とを融合します。
- 古代から現代に及ぶ多彩なカリキュラム。豊富に用意された演習形式の授業で自主性を伸ばします。
- 1年次から日本語・日本文学全般の基礎をしっかり学び、3年次以降は専門に分かれて自身の関心のあるテーマを深めます。
- 方言や古典籍に関わるフィールドワークや言語情報処理など実践型の授業で学べます。
-
身につく力
- 文献を深く丁寧に読み解く力
- 日本語の高い運用能力
- 日本文化を国際的な視野で考える姿勢
カリキュラム
4年間のカリキュラム概要
-
1年次
日本語、日本文学、文化の基礎的理解と方法論を身につけます。
-
2年次
各分野の学問を体系的に学ぶとともに、多彩な授業で専門的な知を深めます。
-
3年次
実践的な学びも体験しながら、卒業論文執筆の土台となる知識、方法論を養成します。
-
4年次
卒業論文完成に向けて学生一人ひとりの状況に応じたきめ細かい指導を展開します。
主な授業内容
-
-
◆日本語史
日本語史概論Ⅰ・Ⅱ
-
日本語の歴史について、文学作品だけでなく、多様な文献資料を用いて考究します。文字・表記、音韻、語彙、文法、敬語、文体などのさまざまな観点から問題を取り上げ、当時の社会、文化、宗教的背景を踏まえつつ論じます。
-
-
-
◆現代日本語
日本語学概論Ⅰ・Ⅱ
-
現代語を中心に、文法論、意味論、運用論(文章と文体、敬語、方言と共通語)、および応用分野について講じます。日本語学という学問分野を紹介するとともに、日本語についての最低限の知識を習得してもらうことを目標とします。
-
-
-
現代日本語演習Ⅰ・Ⅱ
-
現代語を中心に、音声・音韻、文字・表記、語彙、文法、意味、運用各分野にわたって研究法を学びます。テーマの見つけ方、データ・文献の収集方法、論の組み立て方などについて身につけます。発表を中心に、意見も積極的に交換しながら、卒業論文へ向けた具体的な力を養います。
-
-
-
◆方言
言語調査Ⅰ
-
フィールド調査の方法について実践例に即して学びます。特に対面式調査の方法について具体的に取り上げます。また、山形県庄内地方で、フィールドワーク(方言調査)の実践を行います。
-
-
-
◆日本語情報処理
言語情報処理Ⅰ
-
日本語表現をコンピュータで扱う技能や、データマイニングについて、その基礎となる考え方を学びます。実際にコンピュータに向かってプログラミング言語(PerlやPythonなど)によるプログラミングや、既存のツール(KHCoderなど)による実習を行います。
-
-
-
◆日本古典文学
古典文学基礎演習(解釈)
-
『徒然草』の幾つかの章段を読み、現代語訳の仕方、古語の調べ方、先行研究の探し方と利用の心得などについて、個々の学生がゼミ発表する形式に基づきながら、初歩的なレベルを修得することを目指しています。
-
-
-
古典文学基礎演習(くずし字)
-
くずし字を読み解くための基礎力を磨きます。江戸時代の料理本やファッション誌、旅行ガイドといった、現代の我々でも身近に感じられるものを教材にすることで楽しく学びつつ、古典文学に感じる敷居の高さの払拭も合わせて目指します。
-
-
-
日本古典文学入門
-
高校までの古文で学んだ作品を扱い、大学の古典文学研究を体験します。古典文法の知識を再確認しながら、作品を読解するための基礎的な力を養います。また、古典を生み出した貴族社会の有様や、写本や諸本の存在などを学び、古典文学を複眼的に読む力を養います。
-
-
-
古典籍調査
-
数百年も前の書物(古典籍)の現物を触りながら、古典籍を調査、研究するための専門的な技術を身につけます。そのうえで、興味、関心のある古典籍を自由に選んで、作品の魅力を分かりやすくプレゼンテーションしてもらいます。企画・立案・発表といった、社会で必要とされる能力も合わせて養います。
-
-
-
◆日本近現代文学
日本現代文学A
-
日本近現代文学(映画・芝居・マンガなども含む)を対象に、ジェンダー・身体の性・セクシュアリティという視点からの読み直しを図ります。分析に当たっては、特にその表現特性に着目するとともに、表現内容が時代意識や文化構造とどのような相関関係にあるかを考えていきます。
-
-
-
日本近現代文学演習CⅠ
-
「生きもの」「物語」「語り」の3つの軸からテクスト分析を行い、どう関わり合って1つの世界を成立させているかを考察します。特に、生きものとの関わりで不用意に引き出される語り手の「意識化したくない何か」に着目し、「物語ること」が新たな統合を生み出すのか否かを考えます。
-
-
-
◆中国の文学と文化(漢文学)
漢文学演習AⅠ
-
中国中世の思想と文学の重要な特徴について学び、その日本への影響についても考えます。主に7世紀以後の唐代文学を中心として、文化的背景を調べながら、作品を読み意見交換をします。
-
-
-
◆日本文化
日本文化学A
-
文化との関わりの中で、文学をどう読めるのかを考えます。関東大震災後の1920~1930年代に成立するモダン都市の時代を取り上げて、新たに登場してくる都市空間や、都市中間層を中心とする文化に光を当て、それらが作品の中に織り込まれていく過程をたどります。
-
-
-
◆古典芸能
日本の文化(芸能)Ⅰ・Ⅱ
-
関心はあるけどちょっと近寄りがたいと思われがちな歌舞伎。そうした歌舞伎について、映像の鑑賞も交えながら、特徴的な表現形式や歴史的展開を分かりやすく解説。古典作品から『ナウシカ』歌舞伎まで、時代とともに生きるエンターテインメントの魅力を伝えます
-
-
-
◆比較文学・文化
人文学特殊演習(日本文学)Ⅰ・Ⅱ
-
卒業論文を執筆するための授業です。各自が最も関心のあるテーマを選び、1年間かけて研究します。近現代の文学や文化に関わることなら、テーマは自由です。宮崎駿のアニメ、比較文化の卒業論文もあります。
-
主な演習授業
東京女子大学では、特色ある多彩な演習授業を1年次より履修します。
少人数クラスを基本とし、討論や研究発表を行う演習形式の授業を通して、異なる意見と向き合い、協働して問題解決に当たるなど、自ら学び考える力を養います。
-
- 日本文学演習Ⅰ・Ⅱ【8クラス】
-
担当教員: 山本 真吾 / 篠崎 晃一 / 今井 久代 / 原田 敦史 / 光延 真哉 / 野網 摩利子 / 和田 博文 など
(野網摩利子教授担当クラスの場合)近代日本の文学が勧善懲悪といった型から脱してゆきながら、周囲の現実を見つめ直すことによって、人間性の犠牲や矛盾を造型化しえたことを捉え直す試みです。
-
- 古典籍調査
-
担当教員: 光延 真哉
数百年も前の書物(古典籍)の現物を触りながら、古典籍を調査、研究するための専門的な技術を身につけます。最終的には自分の興味、関心のある古典籍を自由に選んで、作品の魅力を分かりやすくプレゼンテーション。企画・立案・発表といった、社会で必要とされる能力も合わせて養います。
-
- 言語調査Ⅰ・Ⅱ
-
担当教員: 篠崎 晃一
方言は、どのような人が、どのような風土で、どのような話し方をしているのかを肌で感じ取ることが重要です。方言調査の方法を学び、山形県庄内地方で、フィールドワーク(方言調査)の実践を行います。
2022年度
卒業論文題目より- 広告のコピーから見る女性像
- 江戸文学に描かれる女性‐異性装から見る性差‐
- キリシタン文献における漢語の研究
- 『今昔物語集』における笑いの表現についての研究
- 謙譲語「ご~する」についての研究
- 女性ファッション雑誌における語彙研究‐外来語に着目して‐
- オノマトペの日韓比較
- 『古事記』研究‐アマテラス像に込められた意味‐
- 『源氏物語』研究‐色彩から見る紫の上‐
- 『宇治拾遺物語』研究‐「夢」説話を題材にして‐
- 黄表紙に描かれた妖怪
- 芥川龍之介の上海体験の研究
- 堀辰雄論‐結核と向き合う姿勢‐
- 向田邦子論‐『思い出トランプ』における家族と個人‐
- 小川洋子論‐「わたし」とともに存在する空間‐
専任教員
-
教授 今井 久代平安時代の文学 / 源氏物語 / 和歌 / 日記文学 / 物語文学
-
教授 篠崎 晃一方言 / 言語行動 / 言語変化
-
教授 野網 摩利子長編小説 / 明治・大正時代 / 東西の文化・思想・文学の受容
-
教授 原田 敦史中世文学 / 軍記物語 / 日本文化
-
教授 丸山 直子文法論 / 意味論 / コーパス調査 / 辞書記述
-
教授 光延 真哉江戸時代 / 歌舞伎 / 日本文化
-
教授 山本 真吾日本語史 / 古代中世の日本語 / 漢字漢語 / 国語辞典 / 古語辞典
-
特任教授 和田 博文クロス・ジャンル / 比較 / 文化 / 文学
-
専任講師 大橋 義武※中国文学 / 中華民国 / 文学史 / 白話小説
資格・進路
-
卒業後の進路
-
進路先
インフラ:ENEOS株式会社/東京水道株式会社 / 運輸:伊藤忠ロジスティクス株式会社/ディー・エイチ・エル・ジャパン株式会社 / 卸売・小売:豊通ケミプラス株式会社/株式会社ニトリ/株式会社JR東日本商事/株式会社セブン-イレブン・ジャパン / 教育・医療・福祉:公立大学法人東京都立大学/学校法人昭和大学/株式会社河合塾マナビス / 教員・公務員:防衛省/山梨県/大田区/警視庁/東京都教員/調布市/船橋市/横浜女学院中学校・高等学校/八王子学園八王子中学校・高等学校/長野県教員/日野市/埼玉県市町村総合事務組合/宇都宮市/埼玉県市町村立小・中学校事務/習志野市/草加市/蓮田市/加須市 / 金融:三井住友信託銀行株式会社/株式会社クレディセゾン/株式会社日本政策金融公庫/株式会社あおぞら銀行/日本銀行/ソニー損害保険株式会社/株式会社三菱UFJ銀行/りそなグループ/野村證券株式会社/株式会社日本カストディ銀行/あいおいニッセイ同和損害保険株式会社/第一生命保険株式会社/株式会社千葉銀行/セゾン自動車火災保険株式会社/株式会社イオン銀行 / 広告・コンサル・学術:株式会社D2C/シアトルコンサルティング株式会社/株式会社埼玉新聞社/PwC京都監査法人/株式会社下野新聞社/株式会社クリーク・アンド・リバー社 / サービス:埼玉県民共済生活協同組合 / 出版・マスコミ・エンタメ:日本放送協会/東京法令出版株式会社/静岡放送株式会社 / 情報通信:楽天グループ株式会社/株式会社日立システムズ/BIPROGY株式会社/株式会社ドコモCS/MS&ADシステムズ株式会社/三菱UFJトラストシステム株式会社 / 製造・建設:キユーピー株式会社/東ソー株式会社/小林製薬株式会社/積水ハウス株式会社/大和ハウス工業株式会社/株式会社四電工 / 進学:早稲田大学大学院/東京女子大学大学院/名古屋大学大学院/慶應義塾大学 など
-
日本文学専攻の
先輩の声-
専門性と客観性を併せ持つことが、深い理解と新たな興味の発見に
人文学科日本文学専攻3年<取材時の学年>東京都・私立桜美林高等学校 出身
-
好きなものを活かしながらマイペースに学びを追求できるから、自分のままでいられる
人文学科 日本文学専攻4年次<取材時の学年> 川上まどか / 人文学科 日本文学専攻4年次<取材時の学年> 吉村雛
-
高校時代に出会った物語を卒論で研究。以前にはない視点で、考察を深めています
人文学科 日本文学専攻4年次<取材時の学年> 東京都・私立品川女子学院高等部出身
-
大学での経験が、日本語教師としての在り方のベースになっています
2013年 現代教養学部 人文学科 日本文学専攻 卒業 友ランゲージアカデミー 日本語教師 佐々木 彩乃